2016年に販売を開始したEZメタルウォール。
EZメタルウォールは、既設水路のかさ上げを目的とした鋼製擁壁で、従来鋼よりも強度の高い「ハイテン鋼」を使用することで自重の軽量化に成功。重機や生コンを不要とすることから、工期短縮や省力化が魅力の製品です。
水路を早く簡単に修繕したい
開発のきっかけとなったのは、ある市役所の方からのご相談でした。
土砂が流れ込む水路を早く簡単に修繕したい
このような現場の対策として、重いコンクリート製品を使用したりコンクリートを現場打ちして水路をかさ上げする方法があります。しかし、重労働かつ工期も長くかかり、型枠を組むための型枠大工が不足しているという問題もあります。このような背景から、「もっと簡単に修繕できないのか?」と頭を悩ませておられました。
これがきっかけとなり、水路かさ上げ工という需要としては決して多くないと思われるニッチな製品の開発がスタートしました。
自社の得意分野を活用した製品開発
「軽量、かつ、簡単施工でかさ上げできる」ためには素材の選定がカギになりました。
自社の主力製品であるグレーチングに、かねてより使用していた、従来鋼より強度の高い「ハイテン鋼」。この「ハイテン鋼」の取り扱い、加工技術を自社の強みとして活用し製品開発に挑みました。試作品で検討を繰り返した結果、水路の側壁に直接差し込み立てかける形状のハイテン鋼製擁壁を開発、土圧などの強度的な条件もクリアし、製品化に成功しました。
従来よりも軽量化、簡単設置に加え、鋼製ならではの柔軟な加工性で現場に合わせて自由に設計できる、いわゆる「1点もの」が可能というメリットも併せ持つ、EZメタルウォールが誕生しました。
農水省NNTDへの登録
EZメタルウォールのメリットは、水路修繕にまつわるさまざまな課題を解決できます。
農水省の関係機関が運営する農業農村整備民間技術情報データベース(NNTD)にも登録されました。
現場の課題にベストマッチする完全オーダーメイド
EZメタルウォールは規格サイズが存在していません。なぜなら、この製品はただの土留め、越水防止擁壁ではなく「水路の形状が特殊」「一部陥没している」「ギリギリの場所で生えている木を傷つけずに施工したい」といった、現場特有の問題やご要望に対する最善策を設計できる擁壁です。
施工実績の積み重ねと共に、さまざまな課題を解消すべくEZメタルウォールはバリエーションを広げ進化を続けています。
ニッチ市場での成功
道路用資材をメインとしていた自社には、「水路かさ上げ工」という農業土木分野は新しい挑戦でした。また、ニッチな製品であることから、爆発的なヒットも期待していませんでした。
しかし、ネット検索などから「こんな製品があるのか!?」「困ってる水路がある」とお問い合わせを多くいただき、大きな反響を得ています。潜在的な需要が全国にあったと改めて知ることができました。
水路の悩みに向き合う製品
水路にまつわる問題が少しでも減り、農家や住民の方が安心できる環境づくりのために、また、施工業者様の環境改善に貢献するため、今後も柔軟な発想でEZメタルウォールの開発・販売に尽力していきたいです。